香港からブツブツ
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 昨日香港電影節(Hong Kong Film Festival)で日本では4/12から上映予定の 映画「靖国 」を見ました。 監督は1963年中国広東省生まれで1989年より日本在住の李纓 Li Ying。 在日歴が20年近いとはいえ中国人が作った映画、そして日本では上映を 取りやめる映画館が出ている、日本の国会議員の一部が反発している、 そんないわば”雑音”をあらかじめ耳にしてしまったため、 映画を見る前からかなり不安な気持ちになってしまったのは事実。 映画は”靖国刀”といわれる靖国神社境内で日本刀を作る最後の 「靖国の刀匠」92歳の刈谷直治の一日から始まる。 狭い作業場で息を切らせながら、まず日本刀で空を切り、 榊に水をやり、そして作業を開始する。 そこは世間の喧噪とは全く別世界で営まれ、ただ刀に魂を打ち込む、 それだけに必要なことをただ行っているかのようだ。 場面が変わり8/15の靖国神社。大きな日章旗や十六条旭日旗をかざし 英霊に向かって霊をなぐさめる姿、旧海軍着や旧陸軍着をまとった グループが行進し、本堂に向かって二礼二拍手一礼する者たち、 星条旗を掲げ小泉首相の靖国参拝支持を訴えるが実は明らかに単に 目立ちたいだけの不謹慎きわまりないアメリカ人、 支離滅裂な歴史論を唱える酔っぱらいのおじさん3人組などなど。 浄土真宗のお坊さんでありながら戦争に駆り出され戦死した亡き父、 その父を信条の違いから(靖国神社は神道)、分祀を求める息子である住職。 台湾のアタヤル族出身者(女性)は日本統治下の台湾で父を日本兵として 戦争に駆り出され戦死し、そして靖国神社に眠っている。 アタヤル族の人間がなぜ祖国台湾でなく日本で祀られている。 彼らのいずれもが遺族の了承も無く、勝手に靖国神社に祀られたのだという。 分祀を求める彼らに対して神社側は戦死者は国家のもので、神社では勝手に 分祀できないと門前払いをしようとする。こんな現実も靖国神社である。 あまり書くとネタばれになるので、これ以上書きませんが、政府関係者の 靖国参拝問題が「戦争美化になっている」と言う靖国反対意見や、 「戦死者を弔うのは当然」といった単純な図式に対して論じているのではなく、 靖国神社の存在に対して様々な側面からまず我々日本人たちが直視すべき事が たくさんある、ということを映像を通じて痛切に感じました。 なお小泉元首相や石原都知事、そしてちょこっと小野田寛郎が映ったりしますが、 それを以て批判的云々と言うほどの描写ではありません。 終演後、香港電影節では制作者が上映館に登場する事が多いのですが、 この作品でも李纓監督が来られており質疑応答がありました。 観客の質問に対し、撮影には題材が題材だけに大変な苦労が伴ったこと、 一部の日本のグループが映画自体を見た事が無いのに反対をしている事を 淡々と語ってくれました。 また日本は戦争について全く反省していないと思うか?」などと、 監督に訊いても全く的外れな質問もありましたが監督は 「それは日本の”政治家”に聞いてください」と軽く受け流していました。 会場を出る際に監督とすれ違うことが出来、ぼくは彼にこう日本語で話しました。 (監督は日本語が完璧です)。 「日本、そして日本人にとって靖国神社は特別で、謎で、とても不思議な存在です。様々な問題を抱えている事を知っている人もいますが、知らない、もしくは知ろうとしない人が多いのも事実です。そんな環境で、このような映画を作ってくれて有り難う。そして、恐らく靖国神社の問題を日本人の手で作るのは、まだまだ難しいでしょうね。そういえば硫黄島を扱った映画はアメリカ、天皇を扱った映画はロシア、そして靖国は中国と戦争相手国がそれぞれ映画を作っていますね」と。 監督は最初ぼくが日本語で話しかけてきたこと、しかも日本ではなくて 香港で声をかけられたことで、ちょっとドキッとされていましたが、 ぼくの話を聞き、彼は何度も「ありがとう、ありがとう」と言われてました。 この映画、日本では上映する映画館も少ないので、なかなか見る事が 出来ないかもしれませんが、是非先入観を持たず、見てもらいたい作品です。 PR |
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